返答全文(左欄)
<アンダーライン、文字色、太字、(番号)、は筆者(omp)が付けた。
アンダーラインは筆者と意見を異にする主張。太字はそのキーワード(考えの狭い点)。
青地の (番号) 及び 着色部 は右欄で誤りを指摘。>
平成10年12月18日
山根 秀宣様
大阪市交通局長
市営交通に関するご意見をいただきまして誠にありがとうございます。
笹倉 和忠 (担当 広報係) 大阪市におきましては、地下鉄を根幹とし、これにバスを組み合わせた公共交通ネットワークにより、通勤通学をはじめとする都市活動を支えているところでございます。 地下鉄は地球環境を保全し、エネルギー効率に優れた、21世紀を迎える大阪市にとって極めて重要な交通機関であると考えており、公共交通と自動車交通との適正なバランスを図るという総合交通体系確立の考えのもとに、大阪市のまちづくりを支える都市基盤設備として、今後とも整備を進めていくよう考えております。 路線網の整備にあたっては、利用者の利便性を第1に考え、これまで、都心部では格子状の、周辺部では放射状の地下鉄ネットワークの整備に努めてきました。その中で、ご提案のように、出発点から目的地まで乗り換えの生じないような地下鉄路線網の整備が理想でありますが、あらゆる需要に対して出発点と目的地を直結する路線整備は現実的には不可能でありますので、路線整備にあたっては、地下鉄路線同士をうまく接続することにより地下鉄ネットワークを形成し、できるだけ1回の乗り換えにより目的地に到達できるような地下鉄路線の整備を進めていくことが、現実的な方策であるとかんがえているところであります。(1) 今後の地下鉄整備につきましては、マスタープランにも示しておりますように、鉄道利用が不便な地域の解消を図るとともに、乗り継ぎの不便さの解消・軽減を図り、鉄道の利便性を高めるため、路線間の連絡の向上や既設線路の補完の為の新線の建設などについて取り組んでいくこととしており、平成元年に出された運輸省政策審議会の答申第10号に基づいて、「交通事業の設置等に関する条例」に組み込んでいる計画路線の整備に取り組んでいるところでございます。 条例の計画路線には大阪市の周辺地域における未整備路線として、森小路大和川線、敷津長吉線、地下鉄7号線(長堀鶴見緑地線)の延伸、地下鉄5号線(千日前線)の延伸の4路線が盛り込まれており、その中でも、特に人口が密集しているうえ、近年住宅整備が急速に進展を遂げていることから、森小路大和川線を地下鉄8号線として整備を図ることとしております。 地下鉄8号線につきましては、これまで、早期に整備が図れるよう、国に対して協議・要望を行ってきましたが、このほど平成11年度予算に向けての運輸省の概算要求に盛り込まれ、今後、本格的にその整備に取り組んでいくよう考えているところであります。 さて、ご提案の8号線のルートについてでございますが、ご指摘のように8号線の整備により、東淀川区や旭区、生野区、東住吉区などに残されている鉄道駅から遠く鉄道利用が不便な地域が大幅に解消されると考えており、少しでも安価な建設費により整備できるよう道路下を活用するためには、現在計画を進めているルートより良いと考えております。
次に、8号線のルートが JR大阪外環状線と競合するとのご指摘でありますが、基本的にJRは市外から大阪市やさらには先の都市への広域的な輸送需要に対処する機能を持った路線であり、市民の足として市内交通を担う地下鉄とは性格を異にするものであります。(2) さらに、JR大阪外環状線と地下鉄8号線は、一部関目から鴫野付近において接近してはいるものの、その他の区間では2〜3km離れていることから、路線同士が競合するとは考えにくいと思われます。(3) また、8号線を7号線に乗り入れた方が利便性が向上することのご意見ですが、7号線の駅間はシールド工法により施工されており、7号線を営業しながら渡り線を開削工法により施工することは不可能であります。(4) さらに、8号線を7号線の分岐路線とすれば、東淀川区や旭区などと7号線沿線の心斎橋、大正などとは乗り換えなしに直結されることにはなりますが、分岐点から8号線の北側及び7号線の東側の区間については、都心方向に乗り入れる本数の制約から運転間隔が粗くなり、ピーク時間帯などには輸送力が不十分でかえって不便になることが予測されます。(5) 8号線と5号線に乗り入れる場合にも同様なことが言えます。したがいまして、8号線は既設線とは当初から別路線として整備して十分な輸送力を確保し、1回の乗り換えにより8号線沿線から梅田、京橋、本町、心斎橋、難波などに到達できる現ルートが最も合理的であると考え、少しでも利便性を高めて輸送需要を確保することとしております。ただし、接続駅ではできる限り乗り換えのしやすい構造とし、抵抗を軽減するためにエスカレーターやエレベーターを整備することは是非とも必要でありますし、少しでも建設費のかからない地下鉄として、7号線で採用したリニアタイプの中型地下鉄の採用により、できる限りコスト削減に努めることは言うまでもありません。 最後に、8号線の整備が地下鉄事業全体に与える影響についてでございますが、8号線の整備にあたっては、全路線を含めた経営について十分に検討を重ねてきており、長期的な見通しの中で収支が確保できるものと考えております。(6)
地下鉄は、都市活動を支える重要な市民の足としてだけでなく、快適で利便性の高いまちづくりを進めるための大切な基盤設備であることから、今後とも、地下鉄整備に取り組んで参りたいと考えておりますので、何とぞご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
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(問題を指摘)
アンダーライン部(1)〜(6)に関する私見(予算化・着工後もHPなど折に触れ反論) (1) そもそも「あらゆる需要に対応する」必要は無い。こちらの案は需要が多いところは直結して、少ないところは1回乗り換えで対応が可能であり、意味の無い仮定を出すのは作文上の屁理屈である。
(2) ユーザーにとって、JRが「広域交通」とか、地下鉄が「市内交通」とかは、関係無い。大正駅から梅田でも地下鉄よりJRが安くて早いので、そちらを使う。(弁天町天王寺は言うに及ばず) この場合、JRの方が市内交通の役割を果たしていると思えるがどうか。つまり安いか、早いか、便利かが基準であって、たとえ1回でも乗換えを前提とするものは(値段は高いので)3つとも失格で地下鉄は選ばれないのである。(8号線の建設委員会でも多くの人が8号線の不採算を指摘している。) (3) 実際はおおむね1〜2kmで、乗換え(=待ち時間含む)があるならその区間は自転車で飛ばすのが大阪人である。 (4) 1回限りの重大な工事をするのに、「営業しながら」する必要が無い。終電後の夜間を利用して少しずつ進め、長時間必要な工事は一時的に運行を停止すればよい。その後の長い不採算を考えると、わざわざできない仮定まで出して否定しているより、あらゆる技術で「分岐案こそ目的」として検討することが重要。 (5) 例えば谷町線の都島駅以北は2本に1本しか運行されていない。他も同様。むしろ地下鉄はJRのようにひとつの線路を多くの経路で有効使用しておらず、中心部でも運転本数が少ない。これが不便を呼び利用者離れにつながっている。市内住民が急増しており、地下鉄は利用急増があってしかるべきだ。 (6) 当の建設委員を含め、私以外にも不採算を指摘する声は多い。交通量予測の専門家である私の友人も不採算と言う結論を出している。ニュータウンなど発展途上地域の鉄道の場合、短期的には不採算でも、人口が増えれば長期的に採算が取れることもあろうが、今回の計画地域は思いっきり下町で人口密度が既に高い所であり、(全部さらえて超高層にする気か知らんが、それでも、地下鉄の不便さゆえに需要が増えまい)将来の収支改善は望み薄。それどころか不採算の累積でATC、WTC、OCATと同じく、税金補填となろう。市のすべての事業を採算で考えるのには組しないが、地下鉄の場合便利で需要が増えれば採算も良くなる点で利害が一致する。どう掘っても高価なら、できるだけ短い距離で、需要が最大限に見込めるベストのルートで考えるべきだ。 |